#35 「あれはポールの椅子よ」

私がまだCNAだった頃、脳卒中の後遺症で話せない患者さんを担当していました。介護施設にいた2年間、彼女は一度も話すことはありませんでした。彼女の部屋には青い椅子があり、彼女が「あれはポールの椅子よ」と話した時には本当に衝撃を受けました。ポールはご主人かと尋ねると、彼女は上下に首を振って「はい」と答えました。彼女の部屋を出た後、私は彼女の親戚か家族の友人だと知っていた別のCNAを見つけました。彼女が私に話しかけ、あの青い椅子について言及したことを伝えました。

彼女は亡くなったご主人の名前がポールであることを確認しましたが、彼女は私が本当に話しかけられたことを信じていないようでした。私は夜7時から朝7時までのシフトだったので、夜11時から朝7時までのシフトで別のフロアに移動しました。彼女は午前4時頃、予期せぬことに眠っている間に亡くなりました。その時、彼女がご主人ポールと青い椅子について話したのが最後の言葉だったのだと気づきました。彼が彼女と一緒にいてくれたことを願っています。彼女が私に話しかけてくれたあの夜の、笑顔の彼女の顔が今でも目に浮かびます。

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